令和2年(2020年)台風10号

※2020年9月18日更新中

気象状況(気象庁等)

・台風10号は、9月5日から7日にかけて大型で非常に強い勢力で南西諸島と九州に接近した後、朝鮮半島に上陸し、8日3時に温帯低気圧に変わった。
・長崎県野母崎で最大風速44.2 メートル、最大瞬間風速59.4 メートルとなり、南西諸島や九州を中心に猛烈な風または非常に強い風を観測し、観測史上 1 位の値を超えるなど、記録的な暴風となった。また、宮崎県日向沖で11.4 メートル、鹿児島県屋久島で10.4 メートルの高波が観測されるなど、南西諸島や九州で猛烈なしけとなった。
・宮崎県神門で4日から7日までの総降水量が599.0ミリとなり、宮崎県の4地点で24時間降水量が 400 ミリを超えたほか、台風の中心から離れた西日本や東日本の太平洋
側で24 時間降水量が 200 ミリを超える大雨となった。

各地の降雨量

1時間雨量
都道府県名市町村名観測地点雨量(ミリ)備考
山形県酒田市 酒田大沢93.54日6時09分まで
和歌山県紀の川市葛城山90.55日16時46分まで
青森県 弘前市弘前 88.04日10時02分まで
長崎県 五島市福江88.07日1時59分まで
埼玉県久喜市久喜87.04日18時46分まで
長崎県 五島市上大津81.57日2時00分まで
24時間雨量

・507.0ミリ(宮崎県美郷町南郷、6日22時まで)
※平年9月の1か月の雨量は、438.6ミリ
・464.5ミリ(宮崎県えびの高原)
・413.0ミリ(宮崎県椎葉村)
・370.0ミリ(宮崎県諸塚村)
・328.5ミリ(宮崎県西米良村)
・235.5ミリ(埼玉県秩父市浦山、6日9時まで)
・235.0ミリ(東京都西多摩郡檜原村小沢、6日9時まで)
・231.0ミリ(神奈川県相模原市緑区相模湖、6日9時まで)

48時間雨量

・595.0ミリ(宮崎県美郷町)

各地の最大瞬間風速

・59.4メートル(長崎県長崎市野母崎)
・48.9メートル(長崎県対馬市鰐浦)
・44.2メートル(長崎県・対馬空港)
・39.1メートル(福岡県・福岡空港)

予報・防災

気象庁記者会見

・『台風第10号の今後の見通しについて』(2020/09/06)

記者会見動画

・『【ノーカット】「引き続き最大級の警戒を」台風10号の今後の見通しに関して気象庁が記者会見』(2020/09/06 テレ東ニュース)

台風進路(気象庁)


※『台風情報』(2020/09/07 13:00 気象庁)

防災

7日13時現在、引き続き、吹き返しの暴風や土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に警戒を。また、停電による熱中症等にも注意を。

土砂災害対策

下記マップなどを参考に、警戒や早めの避難を。
・『大雨警報(土砂災害)の危険度分布』(気象庁)

家の備え

【暴風対策】
<窓ガラスの対策>
・『「窓ガラスに養生テープ」の台風対策は効果ある? 正しい方法をYKK APに聞いた』(2019/10/11 FNN)
【停電対策】
<熱中症対策>
・『停電時の熱中症予防、効果的に熱を冷ますツボは?』(2020/09/07 ウェザーニュース)
<体験談>
・『2019年の台風15号停電体験まとめ(備えといてよかったものとか反省点とか)』(2019/09/15 中嶋友理)

避難状況

避難所開設状況

※2020年9月6日10時現在、都道府県別の避難所数、避難者数
長崎県:26か所、256人
熊本県:61か所、565人
宮崎県:97か所、205人
鹿児島県:635か所、5,760人
沖縄県:108か所、550人
合 計:927か所、7,336人
※『令和2年台風第 10 号に係る被害状況等について』(2020/09/06 10:00 内閣府情報)

報道

・『宮崎・椎葉村で4人不明 台風10号で九州の停電47万戸、18万人が避難』(2020/09/07 西日本新聞)
西日本新聞のまとめでは、実際に少なくとも9万4千世帯、18万4千人が避難した

広域避難

市町村外避難

<熊本県人吉市>
避難先:熊本県人吉市⇒熊本県熊本市(熊本県立劇場、350人分のスペース、毛布、食料等を準備)
目的:避難所の密状態を避け、新型コロナウイルス感染を恐れる在宅避難者の安全を図るため
人数:32人(バス2台)
経緯:5日に球磨川氾濫の恐れがあるのと国交省の会見。人吉市と熊本県は5日夜に広域避難の実施を決定。市は6日午前7時から防災無線や広報車で避難を呼び掛けた。
その他:高齢者など避難が難しい方が市内の避難所に避難できるように、あえて広域避難を選択した方もいた(テレビインタビュー)
・『人吉市が広域避難実施 バスで熊本市へ』(2020/09/ 西日本新聞)

島外避難

※両村とも、台風による島外避難は初めて
<鹿児島県十島村>
避難先:十島村⇒鹿児島市
経緯:猛烈な暴風雨に被害の恐れがあることや、新型コロナウイルス感染防止のため、島内の避難所では「3密」回避は難しいと判断。有人7島に人口688人(2020年3月現在)のところ、要配慮者を中心に約200人を島外避難させることとなった。県に自衛隊派遣を要請。陸上自衛隊と空自の大型ヘリ計5機、海自鹿屋航空基地の救難ヘリ2機の計7機を各島に派遣。自衛隊のヘリコプター(約170人)や村営フェリーみしま(50人)で鹿児島市へ順次避難。
<鹿児島県三島村>
避難先:三島村⇒鹿児島市 
経緯:猛烈な暴風雨に被害の恐れがあることや、新型コロナウイルス感染防止のため、島内の避難所では「3密」回避は難しいと判断。9月4日、避難を希望する約170人の住民を村営の船で、鹿児島港に向かった(うち、約50人が集団避難希望者)。村が確保したホテルや親せき宅等へ避難。
人口:竹島、硫黄島、黒島の3島に、388人(2020年9月1日現在)
※『台風10号警戒 十島・三島村が初の島外避難 自衛隊ヘリや村営船で400人搬送』(2020/09/05 南日本新聞)

その他

ホテル等へも多数が避難した。また、指定避難所で相次いで満員となった。停電や窓ガラスが割れるなどの被害の出た避難所もあった。

被害状況

9月7日12時30分現在、総務省消防庁のまとめで、人的被害38名、住家被害20棟です。
※『令和2年台風第10号による被害及び消防機関等の対応状況(第5報)』(2020/09/07 総務省消防庁)

人的被害

合計38名(重傷5名、軽傷33名)
※その他、安否不明4名(宮崎県椎葉村)

報道

共同通信の7日正午のまとめでは、全国で52人が重軽傷を負った。
・『台風でけが、52人に』(2020/09/07 12:09 共同通信)

住家被害

合計20棟(全壊1棟、一部破損16棟、床下浸水3棟)

土砂災害

・宮崎県椎葉村下福良で土砂崩れが発生。4人が安否不明、1人が軽傷。
※椎葉村消防団、地元建設業者、警察により対応中、日向市消防本部から応援出動予定(総務省消防庁)

椎葉村情報

・人口:1,096世帯、2,518人(男性1,271人、女性1,247人)(令和2年8月1日現在)
・高齢化率:41.3%(2015年)
椎名村公式サイト

報道

宮崎・椎葉村で4人不明 台風10号で九州の停電47万戸、18万人が避難』(2020/9/7 12:43 西日本新聞)
 宮崎県などによると、土砂災害は椎葉村下福良で発生。建設会社の事務所や同じ敷地内にある住宅などが押し流された。住宅などには当時5人がおり、このうち70代男性社長は自力で逃れたがけがをした。社長の妻の60代女性と長男の30代男性、20代の男性従業員2人の計4人と連絡が取れなくなっている。警察や消防団が捜索している

ライフライン

停電

<九州>
※2020年9月7日15時現在
停電軒数:約253,530軒(停電率3%)
―福岡県:約590軒、0.1%
―佐賀県:約9,850軒、1.9%
―長崎県:約86,300軒、9.5%
―熊本県:約8,280軒、0.7%
―大分県:約5,340軒、0.7%
―宮崎県:約8,400軒、1.1%
―鹿児島県:約134,760軒、11.6%
・状況確認と復旧作業を進めているものの、復旧の見通しはまだ立っていない(九州電力)
・切れた電線には絶対近づかないように呼びかけている
・『台風などの非常災害による停電情報』(九州電力送配電)

河川の状況

氾濫危険水位超の河川

なし

過去報

令和2年(2020年)台風10号(第1報)

関連記事

  1. 20200606 関東・甲信地方の荒天

  2. 20190618 山形県沖を震源地とする最大震度6強の地震 (M6.7)

  3. 20210107 1/7からの大雪および秋田豪雪(1/17現在)

  4. 20220803 8月3日からの豪雨災害(北海道・東北北部、新潟、北陸、滋賀等での大雨・河川氾濫・土砂災害)

  5. 20180905 平成30年台風21号

  6. 20230904 全国的な大気不安定による大雨警戒(線状降水帯)・被害状況等

  7. 令和元年台風8号

  8. 20180204 2月4日からの北陸・東北での大雪被害

  9. 20190316 千葉県旭市 断水