20210501 静岡県牧之原市・菊川市・沼津市等での突風・竜巻被害(5/6更新)

※2021年5月6日19時現在

概要

 5月1日夜、静岡県牧之原市、菊川市、沼津市などで突風が発生。このうち、牧之原市では竜巻が発生したとみられ、家屋被害や人的被害、また、車の横転などが被害がでた。電柱の倒壊もあり、停電も発生した。

気象状況

 静岡県内では、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れこみ、1日日中から夜半にかけて、大気の状態が非常に不安定となり、局地的に積乱雲が発達し、雷雨・突風が各所で発生した。また、17:03以降から23:20までの間、8回にわたって県内に竜巻注意情報が発表された。
 静岡地方気象台は、職員を気象庁機動調査班(JMA-MOT)として現地に派遣し、5月2日8時30分より現地調査を実施。牧之原市布引原(ぬのひきはら)で発生した突風の種類は、竜巻の可能性が高いと判断した。強さは風速約55m/s と推定され、日本版改良藤田スケールで、JEF2 に該当とした。また、5月1日18時30分頃に、牧之原市勝田(かつた)から坂部(さかべ)にかけて発生した突風については、現在現地調査で得られた資料を分析。3日、静岡県牧之原市の勝田地区から坂部地区にかけて1日に発生した突風について、「竜巻の可能性があるものの特定に至らなかった」とした。
・『5月1日の突風発生時の気象状況』(2021/05/02 静岡気象台)
・『令和3年5月1日に静岡県牧之原市で発生した突風の現地調査結果について』(2021/05/02 静岡気象台)

報道

・『静岡県内の突風被害、牧之原中心に123棟 推定風速55メートル』(静岡新聞)
・『静岡・牧之原市の突風、気象庁調査「竜巻の可能性高い」』(2021/05/03 TBS NEWS)

懸念事項

・新型コロナウイルス感染拡大下での支援活動
・被害家屋の屋根養生中の転落事故
※『屋根補修中の94歳男性、転落死 台風15号被害の千葉』(2019/09/18 朝日新聞)
・家屋内の片付けや屋根の養生などが難しい世帯への支援
・災害救助法の適用未満の災害
・家屋復旧費用と工事時期の見通し
・アパート被害での借主支援
・被害を受けた商業施設への支援
・被害を受けた茶畑やビニールハウスなどの農業支援
など

被害状況

静岡県全体で、5月3日現在、負傷者3名、112棟の住家被害が発生。
・『5月1日からの突風等による被害状況について』(静岡県)

報道

住民の方の声

・『倉庫がバラバラになり隣家に刺さる 静岡の竜巻、計97棟に被害』(2021/05/02 毎日新聞)
自宅の一部が損壊した男性(55)は屋外から聞こえてくる音に「最初はひょうが降ってきたと思った」と言う。しかし、すぐに屋根瓦が飛ぶ音と気づいて窓から離れた。すると窓ガラスが割れ、破片が屋内に散乱した。突風が収まって外に出てみると、植木鉢が辺りに転がり、庭の倉庫がバラバラになって隣の家に突き刺さっていた。「竜巻だと思う。もうめちゃくちゃだ」と話した。

・『突風猛威「まさか」住民恐怖 がれき飛散、トラック横倒し…爪痕深く』(静岡新聞)
坂部地区の建物被害は35棟。区長の板倉元さん(72)は「台風でも屋根が飛ぶなんていうことはなかった。区民センター周辺では夜間で人がおらず、誰もけがをしなくて本当に良かった」と語った。

・『静岡突風で自宅大破「ショックで涙も出ない」…建物66棟被害「竜巻の可能性高い」』(2021/05/02 読売新聞)
自宅が大破した同市布引原、無職女性(75)は「あまりにショックで涙も出ない。亡くなった夫との思い出もたくさんあるのにもう住めない」と嘆いた

航空写真

・『2021年5月 静岡県突風災害』(2021/05/02 パスコ)

人的被害

牧之原市

3名(軽傷、30~60代の男女3人が割れたガラスによる切り傷などを負った[報道])
出典:『突風等による市内の被害状況等について』(2021/05/02 17:00 静岡県牧之原市)

住家被害

静岡県牧之原市、菊川市、沼津市で、112棟の建物被害が発生(静岡県被害報より)。

市町村名全壊大規模半壊半壊一部損壊備考
牧之原市675住家、非住家を含む
菊川市6
沼津市25住家のみ
出典:『5月1日からの突風等による被害状況について』(静岡県)
出典:『突風等による市内の被害状況等について』(2021/05/03 17:00静岡県牧之原市)
牧之原市

半壊6棟、一部損壊75棟(非住家:倒壊6棟、倒壊以外38棟)
※その他、電柱倒壊16本、車輌横転5台の被害
出典:『突風等による市内の被害状況等について』(2021/05/03 17:00静岡県牧之原市)

菊川市

一部損壊:6棟
※出典:『5月1日からの突風等による被害状況について』(静岡県)

沼津市

一部損壊:25棟

インフラ被害

電力

・牧之原市で最大約3,200戸が停電
・沼津市や三島市など県東部で約2,100停電
→電力会社によると、5月3日現在、復旧済
出典:『停電情報』(中部電力パワーグリッド)

農業被害

出典:『5月1日からの突風等による農作物等への被害状況(第1報)』(2021/05/02 11:00現在 静岡県)

概要

牧之原市内でビニールハウスの倒壊、防霜ファンの破損や倒伏、工場や民家の屋根の茶畑への散乱などの農業被害が発生した。

農作物及び生産施設への影響

牧之原市布引原地区:
・工場や民家の屋根が茶畑に散乱
・防霜ファンの倒伏、破損
・停電の影響により茶工場の製造ラインが停止
牧之原市勝田地区:
・イチゴのビニールハウスが1棟全壊およびビニールハウス暖房用の 2,000 燃料タンクが倒れ、50 の油が流出(吸着マットで処理済)
・茶工場2軒で扉の損壊等
牧之原市坂部地区:
・イチゴのビニールハウスの損壊
・トマトのビニールハウスの損壊
※継続調査中
※お茶の収穫作業は8割程度終了している
※経済連の牧之原物流センター(農薬倉庫)の屋根が破損し、農薬の一部に被害が発生。経済連は他のセンターからの調達で対応する

報道

避難状況

牧之原市

・避難所1か所を開設したが避難者なし、1日午後11時をもって閉鎖。
出典:『突風等による市内の被害状況等について』(2021/05/03 17:00静岡県牧之原市)

支援情報

被害状況の撮影(重要)

罹災証明

牧之原市

ゴールデンウイーク中も申請を受け付けるとのこと。

・『令和3年5月1日発生の突風等による被害に係る「罹災証明書」、「被災届出証明書」の発行について』(2021/05/02 牧之原市)
令和3年5月1日発生の突風等による災害によって住家に被害を受けた方に対し、災害対策基本法に基づき「罹災証明書」を発行するための申請受付を開始します。また、家屋及び家屋以外の工作物等が被災された方に対しても、「被災証明書」を発行するための申請受付を開始します。罹災証明書及び被災証明書が必要な方は、下記申請書に必要事項を記入いただき申請をお願いします。

火災保険(風災)

・『火災保険で竜巻の被害はどこまで補償されるか?』(2019/08/13 保険の教科書)

損害保険会社による解説

・『台風・竜巻等による損害』(損保ジャパン)
・『【火災保険】竜巻は風災に該当しますか?』(三井住友海上)

復旧活動時の安全衛生


・『足場の設置が困難な屋根上作業での墜落防止対策のポイント』(厚生労働省)

共助の状況

杉本 牧之原市市長のfacebook
竜巻災害から3日目を迎えました。牧之原区では、多くの区民ボランティアにより、被災した家屋から排出された廃棄物の片付けや屋根へのブルーシート張り、瓦礫の収集・分別作業が行われました。また、付近の茶畑へ吹き飛ばされた、瓦や折半などの収集作業が行われました。こうした地域ボランティアのおかげで、飛散した瓦礫類は概ね片付けることができました。改めて地域の絆が重要か再認識を致しました。

・『静岡・牧之原の突風被害、復旧作業が本格化 雨予報見据え屋根にシート』(2021/05/04 静岡新聞)
大きな被害を受けた布引原地区では、災害ごみの仮置き場になっている牧之原中央町内会集会所に、地域住民や地元企業社員がボランティアとして集まった。各家庭から搬入されたごみを、瓦、ガラス類などに分別。処理場への迅速な搬出につなげた。地元自治会のネットワークを活用し、住民に協力を呼び掛けた。同町内会の山田和伸副会長(66)は「自主的に集まってもらい、とても作業がはかどった」と感謝。持ち込まれるのは、大型のがれきからガラス片などの細かなごみに変化しているという。

・『静岡突風「一瞬で屋根めちゃくちゃ」、ブルーシートで覆う住民…建物被害118棟に』(2021/05/03 読売新聞)
自宅が大きな被害を受けた同市布引原の男性(67)は3日、「一瞬で窓ガラスも屋根もめちゃくちゃになった。地元の若者が手伝ってくれてありがたい」と話し、屋根をブルーシートで覆う作業を進めていた

・牧之原市・醤油店への支援活動


農業支援

・「災害時に利用できる資金」(静岡県)

社会福祉協議会・ボランティア

静岡県社会福祉協議会

・『5月1日18時半頃に発生した突風(竜巻)被害による現地の状況について』(2021/05/02 静岡県社会福祉協議会)
地元社協との打ち合わせでは、今後の被災住民のニーズや困りごとの変化に対応できるよう、今後も継続して被災地区の住民に寄り添い、支援の漏れやムラがないように住民の声を丁寧に聞く機会を設けたり現地調査を実施したり、社協らしい活動を行っていくことの確認をしました。また、被災地区の民生委員さんから話しを聞く機会がありました。「困った時に助け合うお互い様の意識が強く残っている地域で、近所同士のつながりもあるので顔見知り同士による支援は安心感もあり、大きな力となった」と話されていました。引き続き現地が必要とする支援に対応していきます。

牧之原市社会福祉協議会

・『ボランティアの受け入れについて』(2021/05/02 牧之原市社会福祉協議会 facebook)
ボランティアの状況ですが、互助力や市内のボランティアさんなどが迅速に動いてくださっているおかげで、外部からのボランティアを受け入れしなくても対応できそうです。ご心配くださった皆様、ありがとうございました。

報道

まとめ

〈 牧之原「竜巻」爪痕深く 〉』(静岡新聞)
【写真まとめ】静岡で竜巻か 家屋が損傷、電柱倒れる』(2021/05/02 朝日新聞)

タイムライン

※一部、時系列が異なる場合があります

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