20180411 大分県中津市耶馬渓での土砂災害

概要

NHKライブ映像
2018年4月11日03:40頃、大分県中津市耶馬渓町金吉梶ヶ原(市中心部から約20km離れた地点)で、裏山が崩落し、住宅合わせて3棟(周辺には4棟の住宅あり)が土砂に埋まりました。住民6人(20代から90代の男女)の安否が分からなくなっています(中津警察署)。なお、崩落の被害から免れた1棟(4人)の無事は確認できたとのことです。裏山の崩落範囲は、幅約100m、高さ50mから60m程度の範囲とのこと。専門家は、まだ上部には崩れていない部分もあるため、二次災害に注意を呼びかけています。耶馬渓町では4月8日以降、雨量(0.5mm以上)は観測されていないとのことです(7日に1.5mm、6日が4.5ミリの雨量を観測、大分地方気象台)。なお、中津市は避難所を8時に下郷地区公民館に開設していますが、9時現在、避難しに来ている人はいないとのことです。
※報道より

捜索・救助活動

※報道より
・警察、消防による捜索活動がつづけられている
-自衛隊へ災害派遣要請済み
-建設業協会に建設用大型機械の派遣を依頼済み
-10:00現在、建設用重機3台の到着を確認

安否不明の方々

橋本アヤコさん(86)、江渕めぐみさん(52)、江渕優さん(21)、岩下アヤノさん(90)、岩下義則さん(45)、岩下愛子さん(75)
※NHK報道

これまでの対応

※報道より
・中津市が災害対策本部を設置
・04:00 消防職員約20人が現場に到着
―本格的な捜索には大型重機が必要なため到着待ち
・05:40 大分県が災害警戒本部を設置(約40人態勢)
・06:20 大分県を通じて自衛隊(陸上自衛隊別府駐屯地)に救助要請
・地元建設業協会に建設用重機の派遣依頼
・07:15 自衛隊隊員25人が現場に向けて基地を出発、現場で土砂をかき出すための建設用の機械や資材の運搬車も出発へ
・政府が情報連絡室(首相官邸危機管理センター)を設置

周辺地図

交通情報

通行止め
・県道平原耶馬溪線(下郷入口交差点そば江藤橋~山浦橋、4/11から当面の間 )
・床波山浦線(4/11から当面の間)
※「【緊急情報】4/11(水)土砂崩れに関する市道の通行止めについて(随時)」(2018/04/11 中津市)
※報道:県道702号線(国道212号線との交差点から現場周辺にかけて)

専門家の見解

・『大分 土砂崩れ「岩盤の風化で斜面が大規模崩壊か」』(2018/04/11 22:08 NHK)

国土交通省の国土技術政策総合研究所や土木研究所、それに九州大学の専門家で作る調査団は、中津市耶馬溪町の現場を上空や地上から調べました。
その後の記者会見で、調査団は現場には安山岩と呼ばれる比較的固い岩盤の上に、およそ90万年前から100万年前に起きた火山の噴火で流れ出た火砕流が急速に冷えて固まった「溶結凝灰岩」と呼ばれる層があり、この「溶結凝灰岩」の層が風化してもろくなっていたことで、斜面が崩壊したと見られると説明しました。
そして、この溶結凝灰岩の層が崩壊した際に、ほかの層も巻き込んで崩れ、大規模な崩壊になったとしています。
また、地下水の影響については「直前の雨は崩壊を引き起こすには少ない。また、大量の地下水が影響していれば、もっと現場の土砂がぬかるんでいたりするはずで、影響が全くなかったとは言えないが、少ないのではないか」と述べ、今後、さらに詳しい調査が必要だと指摘しました。
そのうえで、直前に大雨が降っていない中で、これだけ大規模な崩壊が起きるのは極めて珍しいとしたうえで、「土砂災害警戒区域に指定されているところなど、急な斜面の近くでは石が落ちてくるとか、地鳴りがするなどといった前兆現象に注意し、異変を感じたら、早めに避難するなどの対応を取ってほしい」と話しています。

・『大分の土砂崩れ 専門家「地下水が長時間かけ岩盤浸食か』(2018/04/11 17:50 NHK)

応用地質学が専門の九州大学大学院の池見洋明助教は、過去の火山活動でできた耶馬溪一帯の地質が関係しているのではないかと指摘しています。現場周辺は、溶岩が固まってできた安山岩の上に、水を通しやすい「火砕流堆積物」がたまり、2つの地層の間を地下水が流れていると見られるということです。そして「地下水が長い時間をかけて下の岩盤を風化、浸食させ、今回の崩落を起こしたのではないか」と指摘しています。
また「おととしの熊本地震で山に亀裂ができ、そこから水が流れ込んで崩壊した可能性もある。亀裂ができていた場合は、今後、雨が降ると浸食がさらに進むおそれもある」として、二次災害の危険性を指摘しています。
池見助教はこのほか、同じような地質は火山の多い九州各地に見られるとして「火山性の堆積物がある山は水を通しやすく地下水が形成されやすいので、同じような崩壊が起きる可能性がある。山は100年、200年のスケールで壊れていくので注意しなければならない」と話しています。

・『大分の山崩れ 専門家「二次災害に十分注意を」』(2018/04/11 09:50 NHK)

岩盤工学が専門で土砂災害に詳しい九州大学大学院の三谷泰浩教授は「現場の山の斜面は安山岩系の地盤で、縦方向に亀裂が入っていて、それに沿うように土砂が滑り落ちたと考えられる。この土砂には、大きな岩の塊が多く含まれているので、救助は重機がなければ進めることが難しいだろう。ただし、崩れた地点のさらに上の地点には、まだ動きそうな地盤があり、二次災害には十分注意する必要があります」と話していました

防災情報

避難情報

<避難勧告>
・08:00 耶馬渓町金吉梶ケ原の8世帯19人

その他

<土砂災害区域関係>
・大分県の土砂災害警戒区域には指定されていない
・大分県の急傾斜地崩壊危険区域に指定されている
・ふもとの住宅との間には土砂や落石をせき止めるため2か所に鉄製の柵を設置(NHK報道)
※平成3年の台風により現場の裏山を含む一帯で倒木が相次いだことを受けて設けられ、長さは合わせて90メートル余りに及ぶ

支援情報

避難所設置情報

・08:00 下郷地区公民館(耶馬渓町大島)に開設
※09:00現在、避難してきている人はいない(NHK報道)

報道

・『「崩れる音 聞こえなかった」』(2018/04/11 09:03 NHK)

現場の近くに住む50代の女性は「崩れる音は聞こえなかったが、山が崩れたと聞き、外に出たら山が上の方から崩れ落ちていたので驚きました。大雨や地震など土砂崩れが起きる要因が全くない中でなぜ起きたのか、予兆がなく避難のしようもないので、とても恐いです。崩れた場所は知り合いの家だと思うので、一刻も早く無事で見つかって欲しいと心配しています」と話していました。
土砂崩れが起きた現場から南に600メートルほど離れたところに住む女性は「朝5時半ごろに停電してしばらくしたら消防車の音がして土砂崩れに気がつきました。山が崩れているのが見えます。今は目の前の道路が交通規制がかかっているので家を出ることができません」と話していました。

・「耶馬渓で崩落 3軒のまれ6人の安否不明」(2018/04/11 07:53 大分合同新聞」

中津市は11日午前8時、土砂崩れ発生のため、耶馬渓町金吉梶ケ原の8世帯19人に避難勧告を出した

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