※イラン、イラク両国に被害が及んでいることから、タイトルを「イラン西部地震」から「イラン・イラク地震に」改名しています。
日本時間の13日3時18分頃(現地時間の12日21時18分頃)、イラン西部(イラン・イラク国境近く)を震源地とするマグニチュード7.3の地震が発生しました(米国地質調査所発表)。これまでに、イラン、イラク内で530人以上が死亡、7600人以上がけがをし、建物が倒壊するなどの被害(ケルマンシャー州では約1万2000棟の住宅が倒壊)もあり、死傷者数が増える恐れがあります。被災者数は、7万人に及んでいます。最新の被害状況は、下記をご参照ください。
地震諸元
地震諸元(USGS) | |
---|---|
発生時間(JST) | 2017/11/13 03:18 |
震源地 | イラン・イラク国境 |
緯度(北緯、度) | 34.886°N |
経度(東経、度) | 45.941°E |
規模(マグニチュード,mww) | 7.3 |
深さ(km) | 23.2 |
震度(改正メルカリ震度階級、USGS)
被害状況(2017/11/13 21:00現在)
・イラン・ Sarpol-e-Zahabでの建物被害および臨時の避難所・病院について→衛星画像解析
被害概況
国名 | 死者(人) | 負傷者(人) | 行方不明者(人) | 建物被害(棟) |
---|---|---|---|---|
イラン | 530 | 7156 | 12000以上 | |
イラク | 7 | 500 |
人的被害
<イラン>
・「地震が発生してから4日目となり、生存者の捜索が一段と困難になるとともに、住まいを失うなどしたおよそ7万人に上る被災者への支援が新たな課題となっています」(2017/11/16 NHK)
住宅被害
<イラン>
・「ケルマンシャー州ではれんが造りの建物が多く、これまでにおよそ1万2000棟の住宅が倒壊するなどの被害」(2017/11/14 NHK)
被害予測(USGS)
救援・支援状況(2017/11/16 08:00現在)
イラン
報道
※記事中の強調は当サイト
・「特に被害が集中しているイラン西部ケルマンシャー州のサレポレザハブでは、がれきの下に生存者がいないか捜索が続けられていますが、重機や人手が足りず難航しています。生存率が下がるとされる発生から72時間をまもなく迎えるなか国営放送は政府当局者の話として、救援部隊は、まもなく捜索を終える見通しで、最後の確認を行っていると伝えました。一方今回の地震では、国の主導で建設された低所得者向けの集合住宅で建物への被害が相次ぎ、多くの死傷者が出ています。住宅は、低所得者向けの政策を推進した前政権時代に建設が進められ、いずれも完成から6年程度と比較的新しいことから、被災者からは非難の声が上がっています」(2017/11/15 NHK)
・『地震の被害はイラン側の山間部に集中していてこのうち特に被害が激しかった西部ケルマンシャー州のサレポレザハブでは、地震の発生から丸2日となる14日も、救援部隊が救助犬などを使いがれきの下に生存者がいないか、懸命の捜索を行っていました。一方、街の広場や公園には、家を失った人たちがテントを設置し屋外での避難生活を余儀なくされています。イラン政府は、テントや食料、防寒具を重点的に支給する方針ですが、被災地は山間部のため物資の供給が追いつかず被災者からは不満の声があがっています。2つのテントで30人以上の親戚と一緒に避難生活を送っているという男性は「毛布は支給されたが、夜は寒くて眠れない。子どもたちも同じことを言っている」と話し、さらなる支援を訴えていました。
山間部の被災地ではこの時期、夜間の気温が氷点下になることもあるということで本格的な冬を迎える前にイラン政府は被災者の支援に全力を挙げることにしています。被災地では家を失った人たちが公園などで避難生活を送っていますが、支援物資が足りていないということで不安や不満の声が聞かれました。
避難生活を送る50代の男性は「家族にけがなどはありませんでしたが、自宅は大きく壊れ、危険で住むことはできません。テントや水、食料が必要です」と話していました。
また、自宅が全壊したという別の50代の男性は「毛布は支給されましたがそれでも夜は足が冷えて眠れない。子どもたちも同じことを言っています」と話しさらなる支援を求めていました。
一方、60代の男性は「持っている衣類で寒さをしのぐしかありません。暖房器具もなく、何もありません」と話し、冬の訪れとともに、寒さが本格化することに不安そうな様子でした。』(2017/11/15 NHK)
・「現場では夜間に中断していた捜索活動が再開され、救助隊員が建設用の大型機械を使って崩れた建物のがれきを取り除いていました。また、一部の地域では電気や水道が止まっていますが、被災地が山間部であることから支援の手が届きにくく、寒さの中、多くの人たちが屋外での厳しい避難生活を余儀なくされていて、テントや食料などの支援物資を求める声が上がっています」(2017/11/14 NHK)
その他
・OpenStreetMap上へのクライシスマッピングが続けられています(衛星画像より災害前の建物マッピング)
報道
日本
「地震の死者200人以上=進入路寸断、救助遅れ—イラク・イラン国境」(2017/11/13 16:52 時事通信)
『イラクとイランの国境地帯を12日に襲った大地震は一夜明けた13日、イランのメディアは、国内の死者が211人に達したと報じた。負傷者も1700人を超えたと伝えられるが、詳細は分かっていない。各地で土砂崩れが発生、進入路は寸断され、救助隊の現地入りは遅れている。両国当局の実態把握も遅々として進んでいないとみられる。
AFP通信は13日、イラン政府当局者が語った現地時間午前9時(日本時間同午後2時半)までに判明した被災状況として、死者207人、負傷者1700人と伝えた。ただ、詳しい状況は報じていない。
一夜明けてイラク側からも被災状況が伝わり始めた。イラク北部のクルド人自治区スレイマニヤ発のAFP通信は13日、スレイマニヤの南東50キロに位置し、国境に近いダバンディカンの様子を伝えた。コンクリート製の建物は崩れ、町長は「4人が死んだ」と力なく語った。町から南へ70キロのカラルの病院でも子供と高齢者1人ずつの死亡が確認されたという。』
「イラン地震、生き埋め多数か、捜索難航 死者200人 被害拡大」(2017/11/13 産経新聞)
イラン西部のイラク国境付近で発生した地震の被害が13日拡大し、イラン側の死者は200人、負傷者は1686人に達した。国営テレビが報じた。震源は山岳地帯で、被災地には簡素な造りの建物が多いとみられ、多数の住民ががれきの下に生き埋めになったもようだ。イラク側でも少なくとも4人が死亡した。
救助当局が生存者の捜索を急いでいるが、大規模な停電や交通事情の悪化で現地到着が遅れており、作業が難航。死傷者はさらに増える恐れがある。
被害が特に激しいイラン西部ケルマンシャー州の副知事は国営テレビに「がれきの下にまだ住民がいる」と説明した。
「イラクM7.3地震 死者160人超」(2017/11/13 12:41 FNN)
イラン国営テレビによると、少なくとも129人が死亡、1,000人以上が負傷。イラク北部のクルド自治区でも、少なくとも30人が死亡し、けが人は500人以上にのぼっている。震源地周辺では、大規模な停電が発生していて、イラクでは、切れた電線に触れた12歳の少年が感電死する事故も発生している。
「イラン西部 M7.3の地震 135人死亡 約1400人けが」(2017/11/13 12:07 NHK)
「イランとイラクの国境に近い山あいの場所で日本時間の13日未明、マグニチュード7.3の地震があり、これまでに135人が死亡、およそ1400人がけがをしました。現地では多くの建物が倒壊する被害が出ていて、死傷者の数はさらに増えるおそれがあります。(中略)イランの国営放送は、この地震で129人が死亡したと伝えているほか、イラクのメディアも6人が死亡したと伝えていて、死者は、これまでに135人に上っています。また、けが人は、イランで900人以上、イラクでおよそ500人に上っているということです。地震の揺れは、震源地から200キロ以上離れたイラクの首都バグダッドでも観測されたほか、トルコやクウェートなどの周辺国でも観測されたということです。外務省によりますと、これまでのところ、この地震で日本人が被害を受けたという情報はないということです。地震が起きたのは、イラクとの国境付近にあるイラン西部の山あいの場所で、小規模な集落が点在し、このうちイラク側で撮影された映像では多くの建物が倒壊する被害が出ています。
イラン側の震源に近い地域では、土砂崩れが起きて道路が寸断されるなど、救助活動が難航しているということで、死傷者の数はさらに増えるおそれがあります。
イラン
“Strong earthquake hits Iran-Iraq border, kills 211”(2017/11/12 18:56 PRESSTV)
“A powerful 7.3-magnitude earthquake has hit the border region between Iran and Iraq, killing at least 211 people, almost all of them in Iran.
The epicenter of the quake, which occurred at around 09:18 pm local time on Sunday (0010 GMT on Monday), was 32 kilometers south of the Iraqi city of Halabja, in Iraqi Kurdistan, and just across the border from Iran, according to the United States Geological Survey (USGS).But the highest casualties occurred in the town of Sarpol-e Zahab, in Iran’s Kermanshah Province.The Legal Medical Organization of Kermanshah has confirmed that it received 207 bodies until Monday morning.According to the National Disaster Management Organization of Iran, as many as 1,700 people have been injured.Damage is seen in the Iranian town of Qasr-e Shirin, in Kermanshah Province, after a powerful 7.3-magnitude earthquake, on November 12, 2017.The organization says power cuts have been reported in Kermanshah Province. A number of villages in western Iran have also seen destruction of varying degrees.”
リンク
<現地メディア>
PresTV(イラン国営放送局英語版)
<支援団体>
「2017年イラク・イラン地震ニュース(CODE海外災害援助市民センター)」