概要
8月6日から8月12日にかけて、日本付近に停滞した前線や前線上の低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、北日本から西日本の広い範囲で大気の状態が非常に不安定な状況が続いた。石川県や鹿児島県、九州北部では、線状降水帯が発生し、各地で記録的な豪雨となった。 鹿児島県や熊本県内の市町村では、一部、特別警報も発表された。8月6日から12日にかけての総降水量は、熊本県や福岡県では600 ミリを超えたほか、鹿児島県、新潟県、長崎県、長野県、石川県、山口県でも500ミリを超え、平年の8月の月降水量の3倍以上となった所があった。
人的被害は、死者8名、住家被害は7,914棟に上る(2025年8月21日現在、総務省消防庁まとめ)。
各地で支援活動が続けられている。
気象概況
警戒情報
2025/08/17
・17日も九州で気温が上がり各地で猛烈な暑さとなっいる→熱中症対策の徹底を
2025/08/15
・15日も西日本を中心に気温が上がる見込み(熊本県熊本市、大分県日田市等で、最高気温37度等)
・熱中症警戒アラートは、福岡県や熊本県、奄美地方を除く鹿児島県など、21県に発表
→家屋復旧などを行う際は、こまめな水分・塩分を補給や適宜の休息等、熱中症対策を
→水害によるエアコン故障など、家族や近所の方で体調を崩している人がいないか声をかけあうことも重要
・北日本から西日本にかけて大気の状態が不安定となり、局地的に、雷を伴い激しい雨が降る予想
→土砂災害や低い土地の浸水、落雷や激しい突風などに注意を
2025/08/13
・大雨をもたらした前線は西日本付近で北上し活動は弱まりる
・記録的な大雨となった九州北部や大雨となっている石川県などの各地では地盤が緩んでいる
・川の堤防や護岸が損傷個所もある
→少しの雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が高まるおそれ
→土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に十分注意
・13日の日中の最高気温は、大分県日田市で37度熊本県人吉市、熊本市、福岡県久留米市、飯塚市、山口市で36度と、九州を中心に猛暑日が予想されている
・熊本県や鹿児島県をはじめ、三重県から沖縄県にかけての16の府と県に熱中症警戒アラートが発表
→水害等による片付けや復旧作業をする際は、こまめな休憩や水分・塩分補給など十分な対策
→また、周りの人とも声をかけあうなど、互いに確認を
2025/08/11
・前線は西日本の日本海側から東北地方に停滞し、12日夜にかけては、前線上の低気圧が北陸へ進む見込みで、西日本から北日本にかけて大気の不安定な状態が続き、局地的に非常に激しい雨が降るおそれがある
・特に長崎県では11日夜遅くから12日朝にかけて線状降水帯が発生し、災害の危険度が急激に高まる可能性があり、警戒が必要
※過去の警戒情報
・前線の影響で大気の状態が非常に不安定になり、日本海側を中心に断続的に激しい雨が降っている
・8月7日にかけて東北、北陸、新潟県などでは大雨となるおそれ
・特に、新潟県と富山県、石川県では7日朝にかけて線状降水帯が発生し、災害の危険度が急激に高まる可能性がある
気象情報
大雨特別警報
・鹿児島県 霧島市(2025/08/08 05:00)→大雨警報に切替え
・熊本県 玉名市、長洲町(2025/08/11 24:20)→大雨警報に切替え
・熊本県 八代市、宇城市、氷川町(2025/08/11 05:25)→大雨警報に切替え
顕著な大雨に関する情報(線状降水帯発生情報)
避難状況
避難所開設情報
※2025/08/18 06:00時点 内閣府
・4件17か所107人
孤立集落
熊本県
美里町
【報道】
「熊本 美里町 大雨で土砂崩れ 復旧活動で車の通行できるように」(2025/08/18 17:14 NHK)
熊本県美里町では、記録的な大雨で土砂崩れが相次ぎ、一時、複数の地区で車が行き来できなくなっていましたが、18日までに解消しました。今回の記録的な大雨で美里町では100か所以上で土砂崩れが起き、一時、18の地区で車が行き来できなくなっていました。その後の復旧活動で段階的に解消し、18日、9世帯17人が暮らす中岳地区につながる町道で軽自動車と小型車の通行ができるようになりました。18日は、早速、県の職員が地区を訪れ、住民に健康状態や困りごとなどを聞き取っていました。地区にある寺で住職を務める60代の男性は、「行政や工事業者のおかげで思ったより早く通れるようになったので、とても助かります」と話していました。また、18日は住民が協力して、地区内を通る水路にたまった土砂や流木を撤去していました。中岳地区の区長は、「道が1本だけなので、皆さん仕事や病院、買い物に行けなかったのがつらかったと思います。これまで食料品や薬などを歩いて届けてくれた町の職員や消防の方々にはとても感謝しています」と話していました。
被害状況
出典:「令和7年8月6日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況」(総務省消防庁)
人的被害
2025/08/21現在 | 人的被害(計) | 死者 | 重傷者 | 軽傷者 |
---|---|---|---|---|
富山県 | 3 | 1 | 1 | 1 |
石川県 | 3 | 1 | 2 | |
京都府 | 2 | 2 | ||
山口県 | 1 | 1 | ||
福岡県 | 4 | 2 | 2 | |
熊本県 | 14 | 4 | 2 | 8 |
鹿児島県 | 6 | 1 | 5 | |
合計 | 33 | 8 | 4 | 21 |
富山県
・死者:1人(黒部市)
福岡県
・死者:2人(福津市)
【経緯】
・8月10日、福津市畦町を流れる大雨で増水した川(西郷川に支流が流れ込む場所付近)の近くにいた人から「60代くらいの男女2人が流された」と通報あり
・8月15日、流された2人と確認された。
・『福岡 宗像市沖合で発見の2遺体 福津市の行方不明男女と確認』(2025/08/15 NHK)
福岡県宗像市の沖合で13日から14日にかけて男女2人の遺体が見つかり、県は、今月10日に福津市の川で流され行方が分からなくなっていた2人と確認されたと発表しました。福岡県内では今月9日以降、線状降水帯が相次いで発生して記録的な大雨になり、福津市の川では今月10日の夕方、男女2人が流され、行方が分からなくなっていました。海上保安部によりますと福津市に隣接する宗像市の沖合で13日から14日にかけて相次いで男女2人の遺体が見つかっていましたが、県は15日、警察が行ったDNA鑑定の結果、福津市で流された2人と確認されたと発表しました。当初の通報では、2人は「60代とみられる」とされていましたが、海上保安部によりますといずれも70代だということです。
熊本県
・死者:4人(熊本市1、八代市1、甲佐町2)
鹿児島県
・姶良市1人
【報道】
・八代市(高齢女性1人)
―用水路に車が転落していると、近くに住む人から通報
ー消防が駆けつけたところ運転席側が下向きになって横倒しになっている車が用水路から見つかり、乗っていた高齢の女性が救急搬送された
ー女性は意識がない状態だった
※「熊本 八代 用水路に車転落 乗っていた高齢女性が搬送 意識なし」(2025/08/11 19:22 NHK)
鹿児島県
・行方不明:1名(姶良市蒲生町白男)
-「家が崩れて中に閉じ込められている」と消防に通報があり、この家に住む30代の女性と連絡が取れておらず、消防などが捜索
―8日午前4時45分ごろ、「土砂で家が崩れて中に閉じ込められている」と消防に通報あり
ー当該住宅にはには4人が居住。このうち高齢の母親と次女の2人が救助され、病院に搬送→いずれも意識があり
ー高齢の父親の無事も確認
⇒30代の長女と連絡が取れない状態
出典:「鹿児島 姶良市で家屋倒壊 1人と連絡がとれず」(2025/08/08 10:10 NHK)
住家被害
都道府県 | 住家被害(計)2025/08/21 現在 | 全壊 | 半壊 | 床上浸水 | 床下浸水 | 一部破損 |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道 | 35 | 3 | 22 | |||
青森県 | 1 | 1 | ||||
秋田県 | 40 | 1 | 3 | 26 | 1 | |
新潟県 | 19 | 3 | 11 | 5 | ||
富山県 | 16 | 1 | 15 | |||
石川県 | 914 | 250 | 662 | 2 | ||
京都府 | 2 | 1 | 1 | |||
広島県 | 5 | 5 | ||||
山口県 | 116 | 15 | 22 | 76 | 3 | |
福岡県 | 217 | 1 | 62 | 145 | 9 | |
佐賀県 | 1 | 1 | ||||
長崎県 | 6 | 2 | 1 | 3 | ||
熊本県 | 5277 | 8 | 41 | 2377 | 2772 | 79 |
大分県 | 13 | 2 | 10 | 1 | ||
鹿児島県 | 1252 | 2 | 673 | 577 | ||
合計 | 7914 | 12 | 56 | 3404 | 4331 | 111 |
熊本県
【報道】
・「浸水被害の八代市 厳しい暑さの中 住民たちが片づけ進める」(2025/08/13 12:02 NHK)
浸水被害が相次いだ八代市千丁町では、厳しい暑さの中、住民たちが汗を流しながら水浸しになった家具を拭いたり、泥まみれになった畳を外に出したりと片づけを進めていました。また20センチほど浸水したという近くの保育園でも、職員らが園内にたまった水をポンプを使って排水するなど再開に向けて片づけに追われていました。「千丁みどり保育園」の園長は、「きのうまで冷房や扇風機も使えず大変でしたが、きょうは冷房が使えるようになったので、熱中症にならないよう休みながら片づけを進めています。一刻も早く保育園を再開できるように頑張りたいです」と話していました。
鹿児島県
※NHK報道:「【大雨特別警報】鹿児島県で浸水相次ぐ 各地の被害状況は」(2025/08/08 NHK)
床上浸水・床下浸水
・霧島市:床上浸水、床下浸水情報がそれぞれ数件(市情報)
・薩摩川内市:床上浸水1棟(祁答院地区、市情報)
・曽於市:複数の床下浸水(曽於市役所大隅支所の周辺、市情報)
報道
・「金沢、観測史上最大の雨 半日で331ミリ、月間雨量の1.8倍 加賀に線状降水帯、競馬場「水没」」(2025/08/08 北國新聞)
・「冠水、床下浸水続く 能登海沿い、高潮発生」(2025/08/08 北國新聞)
インフラ被害
水道・断水
・霧島市→8月13日午前5時40分に、断水解消
道路
【熊本県】
<美里町>
支援状況
災害法制
災害救助法
令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じていることから、石川県の1市、山口県の1市、熊本県の6市4町、鹿児島県の4市に災害救助法の適用を決定。
出典:『令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害にかかる 災害救助法の適用について【第8報】 』(2025/08/11 内閣府防災)
石川県 | 金沢市 | かなざわし | 2025/08/07 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鹿児島県 | 薩摩川内市 | さつませんだいし | 2025/08/07 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
鹿児島県 | 曽於市 | そおし | 2025/08/07 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
鹿児島県 | 霧島市 | きりしまし | 2025/08/07 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
鹿児島県 | 姶良市 | あいらし | 2025/08/07 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
山口県 | 宇部市 | うべし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 熊本市 | くまもとし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | 救助実施市 |
熊本県 | 八代市 | やつしろし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 玉名市 | たまなし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 上天草市 | かみあまくさし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | 救助実施市 |
熊本県 | 宇城市 | うきし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 天草市 | あまくさし | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | 救助実施市 |
熊本県 | 美里町 | みさとまち | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 玉東町 | ぎょくとうまち | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 長洲町 | ながすまち | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 氷川町 | ひかわちょう | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 | |
熊本県 | 甲佐町 | こうさまち | 2025/08/10 | 令和7年8月6日からの低気圧と前線 による大雨により、多数の者が生命又は 身体に危害を受け、又は受けるおそれが 生じており、継続的に救助を必要として いる。 | 災害救助法施行令第1条第1項第4号適用 |
NPO・ボランティア活動
被災者支援センター(災害ボランティアセンター等)の開設状況
<石川県>
・石川県社会福祉協議会
【金沢災害ボランティアセンター(金沢市社会福祉協議会)】
―開設日:2025/08/09
【報道】
・「金沢、大雨で片付け ボランティアも力合わせ」(2025/08/10 05:05 中日新聞)
金沢市は9日、7日の大雨による被災者を支援する災害ボランティアセンターを市社会福祉協議会に開設した。この日は周辺の被害が大きかった大浦小学校に現地本部が置かれ、市内を中心に約70人のボランティアが、学校周辺で水に漬かった家財や土のうを運んだり、側溝に詰まった泥をかき出したりと汗を流した。
<山口県>
・山口県社会福祉協議会(特設サイト)
<富山県>
・高岡市災害ボランティアセンター
<福岡県>
・福岡県社会福祉協議会(災害福祉救援情報)
・福津市災害ボランティアセンター
・宗像市ボランティアセンター
・北九州市ボランティアセンター
・古賀市ボランティアセンター
<熊本県>
・熊本県社会福祉協議会
・熊本市災害ボランティアセンター
・玉名市災害ボランティアセンター
・玉東町災害ボランティアセンター
・美里町災害ボランティアセンター
・八代市災害ボランティアセンター
・上天草市災害ボランティアセンター
・氷川町災害ボランティアセンター
・宇城市災害ボランティアセンター
・天草市災害ボランティアセンター
・甲佐町災害ボランティアセンター
・益城町ボランティアセンター
・御船町ボランティアセンター
<鹿児島県>
・鹿児島県社会福祉協議会
【霧島市災害ボランティアセンター(霧島市社会福祉協議会)】
ー開設日:2025/08/10
ーボランティア募集範囲:鹿児島県在住の方(要事前登録)
<<報道>>
・
【姶良市災害ボランティアセンター(姶良市社会福祉協議会)】
ー開設日:2025/08/12
ーボランティア募集範囲:鹿児島県内
NPO等の動き
・PBV
・OPEN JAPAN
災害情報
推定浸水図
・『2025年8月7日からの大雨 推定浸水図等』(防災科学技術研究所 極端気象災害研究領域 水・土砂防災研究部門)
検証
災害で犠牲にならないために
福岡県福津市で川に流された
・『福岡 福津 大雨で2人流され行方不明の現場 専門家が調査』(2025/08/14 NHK)
14日、全国で水害の被災現場を調査している静岡大学の牛山素行教授が現場を訪れ、川の状況や住宅地の浸水の痕跡などを調査しました。現場は2級河川の西郷川に支流が流れ込む場所のそばで、付近の住民によりますと、2人が流されたとみられる住宅街のあたりは当時、大人のひざや腰の高さまで浸水していたということです。別の住民によりますと、当時、支流の複数の橋に流木などが引っかかって流れがせきとめられ、支流の水があふれていた上、合流先の西郷川の水位も上がっていたということです。
牛山教授が行った調査では住宅街は数10センチの高低差があり、2人が被災した場所は川の近くの低い場所で水が集まりやすかった上、2人が流されたとみられる時間帯にあたる午後5時台に雨が強まり、一気に水量が増えたとみられるということです。現場に近い宗像市の雨量計では10日は午前0時から2時にかけてあわせて100ミリを超える雨が観測されたあとも雨が断続的に降り続き、午後5時からの1時間には63ミリの非常に激しい雨が観測されていました。
牛山教授は、「宗像市のデータでは、2人が被災した1時間ほど前には雨が上がっていた時間があった。浸水などの危険度を示す気象庁の『キキクル』を見ると被災した時間の少し前に危険度が急速に上がっていて、わずか数10分で事態が急変している。避難の際に注意しづらい状況だったのではないか」と分析しました。その上で、「すでに周囲で浸水が確認できる場合、水深が浅くても流れが速いと流される場合がある。雨が激しい場合は流れる水には近づかないという大原則を守ってほしい」と話していました。